ひとりでいるのが好きな人は結婚に向かない、女寂しがりやな女は結婚に向く。私はそう思っている。ひとりでいるのが好きな女は、結婚生活を苦痛と感じるに違いない。好きで一緒になった夫とはいえ、他人との共同生活である。孤独を好む人にとっては、それ相応の努力を強いられる毎日となろう。誰もがそうだと断言はできないが、夫というのは、まったくもって、実にまことに、ほんと、あきれるほど、妻のペースを乱すものだ。突如として「めし」と言ったかと思うと、急に「外食にしようか」と気を変えたりする。うるさくまとわりついてきたかと思うと、こちらがかまってほしいときはどこかに消えてしまっていない。もちろん、わざとしているのではない。ただ、妻はつねに自分にスタンバイしていると、無邪気に信じ込んでいるところがある。だからこそ、こういう行動に出るのだろう。もっとも、妻は妻で、「ねえ、ねえ」の枕詞に続けて、延々と自分の話をしてしまったりする。相手が疲れていようと、そんなことおかまいなしだ。これも、夫は自分にスタンバイしていると期待してのことなのだ。夫(妻)は「私の専属」になるのだから…程度の差こそあれ、結婚すると、多くの夫婦は互いに相手を「私の専属」と見なすようになる。結婚とは特定の個人と専属契約を結ぶことだと言いたくなるほどだ。何を隠そう、私たち夫婦にもそういう面がある。私の夫は、かなりのマイペース人間だ。はっきりいって自己中心的な言動が目立つ。おそらく外では気を使っているのだろう。その反動か、家の中ではまさにやりたい放題。それは本人も認めるところとなっている。以前、夫が書いたエッセイの中に、「夜遅く酔って帰ってきて、妻のことを踏んづけて起こしたり、よく眠っている息子の顔をペロペロなめて絶叫させたりする」というエピソードがあったらしい。そのとき、私は周囲の人に「あれ、本当のこと?まさかね、違うよね?」と「エッセイだからオーバーに言ってるんでしょう?」と何度も尋ねられたが、この場を借りてお答えしましょう。本当です、それも、けっこう頻繁にあります。おまけに、翌朝は二日酔いだといって、明け方から大騒ぎ。「気持ち悪い、もう酒は飲まない」と、家中に宣言して歩く。まったくいいかげんにしてほしい。私なんて、二日酔いの朝だって頭を動かさないようにしながらそろそろと起き、「二日酔い?なんのことかしら?」と涼しい顔をして見せるというのに(もっとも、家族が出払ったあと、ばったり倒れて昼まで起き上がれないなんてこともあるんだけれど。ま、こんなこと、威張ることではないとよくわかってはいるけど…)。それでも、私は、ひとりぼっちでいるよりは、2人で、できれば子供もいて、にぎやかにしているほうがうれしい。たとえ顔を踏んづけられても、失いたくないのが今の毎日なのだ。まあ、要するに、寂しがりやなんですね。穏やかでシーンと静かな生活より、大騒ぎしてかき回される毎日のほうを選びたいと思うのだから。だから、もし、あなたが寂しがりやだったら、それだけで、結婚に向いているといえるだろう。加えて、もし、他人に合わせるのが得意だったら、さらに結婚に向いている。もちろん、結婚しても毅然とした生き方を崩さず、わが道を行くヒトもいる。それはそれで立派なことだが、日常生活を他人と過ごすときは、ゴーイングマイウェイだけではやっていけないことが多い。自分の思い通りにしてばかりいたら、配偶者との間に、軋棒が生じてしまう。その軋繰はやがて亀裂となり、不幸につながっていくだろう。
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