疫学調査の例で、ビタミンを血中濃度で測定して、その濃度と病気の関係を見たものがありましたが、血中濃度とはいったい何でしょう。この疫学調査は、健康(栄養)補助食品ではなく、食べ物で栄養素を摂っている人たちに対する研究です。食べ物が胃腸で分解・吸収されてから、栄養素は血液中に現れます。消化活動が十分でなければ、食べ物を栄養素に分解して吸収することができませんので、同じものを同じだけ食べても、消化能力の違いで、吸収されて血液中に現れる栄養素の量は違ってきます。そういう意味では、吸収された栄養素と病気との関係を見ているのです。しかしこの血中濃度には、血液の中にあるビタミンやミネラルの濃度であるということ以上の意味はありません。もしかしたら、血液中のビタミンやミネラルが使われずにそのまま尿として体の外に出てしまうかもしれず、吸収されたあとのことは考えていないのです。このことは、特に合成の健康(栄養)補助食品を用いる際に注意しなければなりません。合成の健康(栄養)補助食品は、人間が勝手に自然のまねをしてつくったものですが、食べ物の中の栄養素と同じ動きや働きをするとは限らないのです。ですから合成のビタミンやミネラルが血液中にあるからといって、その後ビタミンやミネラル本来の働きをしてくれるとは限りません。血中濃度と実際に体が有効に利用することとは別のことなのです。