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四番目の光

僕はいつも小さな箱のなかにいる。そこにいることがどこよりも心地よくなったのはいつのことだったろう?大きなリクライニングーシートとテレビと電話とティッシューボックスだけの小さな部屋。テレビはたいていワイドショーやニュースが映っている。電話なんて最初から取るつもりはない。ただなり響く電話のベルの音を聞くだけ。そもそもこんな裏寂れたテレホンークラブの電話なんて滅多に鳴らない。けれどそれはたまに驚かすようになることがあって、それでも僕は取らない。他の客が取ってくれるのを待つ。案の定、誰かが取る。早い者勝ちなのでそのラインは別の部屋に繋がれる。楽しげに話す男の声が聞こえ始める。電話機には小さなランプが並んでいて、女性からの着信があると、一番端から順に赤く点滅する。そしてどこかの部屋に繋がるとそれは緑色に変わって点灯する。やがて二番目のランプが点滅する。それでも僕は取らない。きっと客は僕の他にもまだいる。僕が唯一電話を取るのは、他の客が全部話し中になった時だけである。それはいつも四番目の光だ。僕の他には誰も話し相手はいない。その時だけ僕はその光をとても親密に感じる。僕はその時だけ小さな箱のなかから一瞬だけ現実と繋がることを許される。そう思って受話器を取る。女性の声が聞こえる。現実と繋がる。「もしもし?」「うん。繋がったよ」「そうね」それきり女性は無言になった。僕もそれに合わせて無言になった。「何も用はないのよ。ただ退屈だっただけ」「そうだね。俺もそうだから無理して喋らなくてもいいよ」「ありがとう」