勤労者の勤労意欲の低下は、居住不安、住宅確保に関わる絶望感によるものだとして、ここに真の公正な配分を求める市民運動団体が誕生します。若手の弁護士、大学教員、一般市民による「経済正義実践市民連合」という組織が立ち上げられ、連日ソウルをはじめとする各地でデモを繰り広げました。これに危機感を抱いた政府は、国会に土地公概念研究委員会を設置して「土地公概念」をとりまとめるに至るのです。この「土地公概念」は「土地による不労所得を排除し、公平な再分配を実現して、国民の和合を図る」ことに意義があると説明され(国土開発研究院)、当時の直泰愚大統領は「土地は「公」のものである」と宣言して、この理念に沿って土地政策を進めることを国民に確約するのです。
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これに基づき九〇年三月、「土地公概念」関連三法といわれる「宅地所有上限に関する法律」「開発利益還元に関する法律」「土地超過利得税法」を制定します。これによって宅地の所有について上限を定めて制限します。また開発によって上昇した土地の価格値上がり分や、土地の売買によって得た利益についても税で徴収する税制度を紆余曲折のうえ、スタートさせることになります。その後、この「土地公概念」関連三法は、地価が沈静化したこともあって有名無実化しますが、住宅法が制定された前段にこうした過去の宣言と法制化が存在するのを見逃すわけにはいかないでしょう。というのも二〇〇〇年前後からふたたび居住に関わる富裕層と低所得層の格差が顕著になって、オリンピック前後の様相が再現しかねない状況になってきたからです。