かつて葬儀というのはムラや町単位で行なわれるものであり、家族だけで全てのことをとりおこなうことは不可能でした。これは、共同体としてのムラの形態が強く関係しており、人間はその共同体の構成員としての意味合いが強かったからといわれています。香典返しという習慣もそのようなシステムの中から生まれてきたものでして、相互扶助ということを考えるならば、遺族の負担にならないように葬儀を執り行うのが一番のことと考え、遺族となる者が得をするようにしている代わりに、他の共同体の構成員が同じような状況になった場合に助けるということを約束しているのです。確かに香典返しというものは一見すると手間が多くてやっかいなシステムに見えるのですけど、そこまで考えて設定されているということもありますので、ある意味で必要とされるべくして生まれた習慣ということがいえるのです。こういうやり方は人間関係が希薄になってきた現在にはそぐわないという人もいますけど、そういう時代だからこそ必要なのだともいえるのです。